法人の役員に対して、事業年度の途中から経済的利益を供与した場合、当該経済的利益は果たして定期同額給与として損金に算入できるのでしょうか。
この点、法人が役員等に対して、金銭以外の物又は権利その他の経済的利益の供与をした場合、例えば、役員本人が負担すべき保険料を法人が毎月負担した場合や、役員に対する貸付金で利率が通常利率よりも低い場合などですが、こうした経済的利益の供与は、役員等に対して給与を支給したのと同様の経済的効果を有するため、原則として当該役員に対する給与とされます。
また、法人税法上、役員給与は原則損金不算入とされつつも、
① その支給時期が1か月以下の一定期間ごとである給与(定期給与)で、事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
② その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
などは、損金不算入の対象から除かれており、これら①、②を合わせて「定期同額給与」といいます。
ところで、②の「その他これに準ずるものとして政令で定めるもの」とは、具体的には、
イ 定期給与で、給与改定がされた場合における事業年度開始の日又は・・(中略)までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
ロ 継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの
とされており、経済的利益については、定期給与である必要はない旨明確にされています。
したがって、事業年度の途中から経済的利益を供与した場合であっても、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であれば、定期同額給与として損金に算入できるということになります。